2010 Fiscal Year Annual Research Report
植物-微生物間相互作用に関わるタンパク質分子の構造と機能
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09J06992
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
翁長 彰子 鹿児島大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | キチナーゼ / LysMドメイン / キチン結合 / 抗真菌活性 |
Research Abstract |
LysM-キチナーゼは,既に全ゲノム配列解析が終了している被子植物のシロイヌナズナやイネ,コケ植物のヒメツリガネゴケの何れにも存在せず,植物由来キチナーゼとしては全く新奇のものであった。Pterisryukyuensis Chitinase-A (PrChi-A)はN末端側に2個のLysMドメインが,Equistum arvense Chitinase-A (EaChi-A)は1個のLysMドメインが,それぞれGH18キチナーゼの触媒ドメインに連結された構造であり,植物におけるLysM-キチナーゼの報告は現在のところ,この2例のみである。PrChi-Aはキチン結合能および抗真菌活性を有しているのに対して,EaChi-Aは非常に強いキチン結合能を有しているものの,明確な抗真菌活性は示さなかった。このように,LysMドメインを持つ同じようなキチナーゼにおいても抗真菌活性の有無が異なっていることより,LysM-キチナーゼにはそれぞれ異なった生理的役割をもつことが考えられた。LysMキチナーゼの生理的役割の違いがどのような構造に起因しているのかを調べる目的で,PrChi-AとEaChi-Aのドメインスワッピング体を作成し,性質比較を行った。各種変異体解析の結果,Cat_<Ea>を持つ変異体は,キチン結合能は高いが,加水分解活性は可溶性基質および不溶性基質ともにCat_<Pr>を持つ変異体よりも低くなっていた。強いキチン結合能によるターンオーバーの低下が加水分解活性を低下させ,結果として抗真菌活性を低下させていると考えられた。LysM-キチナーゼの生理的役割は,その触媒ドメインの構造の違いによって,異なっていることが推察された。LysM-キチナーゼの生理的役割を解明には,他のシダ植物からいくつかLysM-キチナーゼを単離精製し,その構造および機能を明らかにしていくことが重要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)