2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J06998
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
夏井 拓也 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ライナック / X-band / RF gun / 加速管等価回路モデル |
Research Abstract |
950keV小型ライナックにおいては実証実験において,加速ビーム電流が振動するという問題が起こっていた.この現象は,従来の一般的なシミュレーション方法では予測することはできず,はっきりした原因も分かっていなかった.この問題に対しては,ビーム加速時に発生する高周波パワーの変化,すなわちビームローディングが起因しているのではないのかという予想を立てていた.しかし,このような現象を解析する手法はきわめて難しく,既存の計算コードでの解析は不可能であった.昨年度は新たなシミュレーションコードを開発し,ビーム振動現象を再現することができた。計算方法は,加速管の連成空洞の特性をよく再現できる等価回路モデルと,ビームローディング効果を評価するための1次元粒子加速モデルを組み合わせたものである.この方法は,扱おうとしている長時間時間スケールに対して十分な計算速度が得られ,かつもっとも正確に再現しなければならない連性振動体としての加速管の特性を厳密に取り扱えるため,最適の方法であると考えた.今年度は、自作したシミュレーションコードで,950keVライナックの特性を入力し計算を行った結果の詳しい解析を行った。その結果、振動原因の物理的意味を理解するにいたった。 このような,可搬型ライナックの開発とともに医療用コンプトン散乱X線源用X-bandライナックの実証実験にも携わり,電子ビームとレーザパルスの衝突によるX線発生実験も行った。このとき、加速電子ビームのQスキャン法によるエミッタンスを測定することにも成功した。X線シグナルを観測するまでには至らなかったものの、その原因がビーム不安定性によるノイズX線であることを突き止め、さらにその減少は電源モジュレータの充電電圧の不安定性に起因するということを確かめている。このような結果から、充電電圧を安定させたのちX線発生実験を再開させるべきであることが分かった。
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Research Products
(4 results)