2009 Fiscal Year Annual Research Report
人間の情報認知特性に基づく自律的な学習の促進とエラー修正の研究
Project/Area Number |
09J07038
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
行場 絵里奈 Tohoku University, 大学院・教育情報学教育部, 特別研究員(DC2)
|
Keywords | 教授設計 / 認知情報処理モデル / 知識の種別 / 教授メディア / 評価方法 / 学習促進効果 / フィードバック / 理解と反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は、その教授メディアを応用した教授と教育における学習者の自律的な学習を支援する教授モデルを構築することである。その一環として、教授メディアの一つである学生フィードバックシステムの知識のタイプによる学習促進効果の検証を行った。具体的には、単純なクリック操作によって複数の種類のフィードバック(「面白い」、「改善の余地あり」、「わからない」)を送ることを可能とするフィードバックシステム"EduRelex"を使用したときの学習促進効果を調査するために、システムを使用した学生とシステムを使用しなかった学生の記憶保持をテストによって比較した。その結果、システムを使用した学生のほうが、送信したフィードバックの種類にかかわらず記憶保持が良好だったことが明らかになった。このことから、フィードバックシステムの使用によって学習を促進するという強固な機能を持つことを確証した。 さらに、近年、急速な展開がなされてきた認知理論では、提示される情報の内容によって異なる認知階層レベルが活性化されることが知られており(Anderson,1985)、感知された情報は異なる形式の知識として記憶・利用されると考えられている。このため、学習内容をフィードバックが与えられた項目と与えられなかった項目に区分し,さらに分類した学習項目に含まれる知識を宣言的知識と手続き的知識に区分したうえで学生の記憶保持率を調査・比較し,学習遂行に及ぼす効果を調査した。その結果、システムを使用した学生はフィードバックの有無に関係なく、宣言的知識に対して記憶保持が良好であり、知識のタイプ別の主効果も示されたことから、システムを使用して学習内容を評価し判断するプロセスが、特に宣言的知識の学習促進に有効であることが示された。 以上のことから、フィードバックシステムは、概念的な情報や新しい体系的知識の学習でより有効であることが改めて実証され、メディアを使用したときのどの教授内容に対する学習者の記憶保持が強化されたかを確認することができた。
|
Research Products
(2 results)