2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07113
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
赤澤 春彦 日本大学, 経済学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 日本中世史 / 宗教史 / 陰陽道 / 官人陰陽師 / 鎌倉幕府 / 安倍氏 / 賀茂氏 / 室町時代 |
Research Abstract |
本研究の目的は、中世日本における宗教の特質及びその歴史的変容過程を陰陽道の視角から考察し、中世日本の宗教史像を再構築することである。3年目にあたる本年度はこれまで史料収集し、完成させたデータベースをもとに室町期の陰陽道研究を進めた。当該研究の中心である柳原敏昭氏の一連の研究を再評価し、武家による「王朝勢力権限吸収」論の再検討、朝廷や寺家を含めた広い視野に立った陰陽道研究の必要性、鎌倉期からの連続面・断続面の検討、近年活況を呈している室町殿論などとの関係など、多岐にわたる論点を指摘した。これらはいずれも今後、室町期陰陽道研究、あるいは中世陰陽道研究を展開させていくために重要な論点である。これらの論点はいまだ未開拓な分野であり、ひとつひとつ丁寧に検討すべき課題であるが、22年度に発表した拙著『鎌倉期官人陰陽師の研究』(吉川弘文館、2011年)とともに、これから中世陰陽道研究を進めていく上での方向性を明確にできたことに本研究の意義を認めたい。 加えて、院政期~鎌倉期の陰陽道研究も継続して進めた。昨年度に拙著を発表したとはいえ、まだ検討すべき課題は多く残っており、今年度はそのうち、鎌倉幕府と陰陽道との関係を改めて取りまとめ、また鎌倉幕府における下級官人の諸問題を陰陽師だけでなく文士全体の問題として考え、論文を執筆した。 調査関係の成果としては、まず戦国期から江戸初期にかかる陰陽道関係の史料収集を行った。これらは古記録と古文書が中心となるので、今後は説話や物語などへ目を配って補足していく必要がある。未刊行史料については昨年度調査した京都府立総合資料館所蔵の若杉家文書の翻刻を順次行った。
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Research Products
(3 results)