2009 Fiscal Year Annual Research Report
日本古代における国制と社会-神祇令・僧尼令研究の視点から-
Project/Area Number |
09J07116
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
久禮 旦雄 Kyoto University, 法学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 日本史 / 古代史 / 法制史 / 国制史 / 宗教史 |
Research Abstract |
(1)神祇令について 日本古代の律令国家が編纂した律令において、神祇祭祀の項目を定めた神祇令については当時の社会における祭祀と神祇令の祭祀との相違点についての報告「神祇令における神社祭祀について」を法制史学会第61回総会(於九州大学)で行い、神祇令の編纂が唐の祠令の影響を強く受けながらも、自然開発を積極的に行う七世紀の王権のあり方と密接に結びついていることを考察した。 また日本史研究会古代史部会の報告「遠藤慶太報告「古代国家と史書の成立-東アジアと『日本書紀』-」を聞いて」(於機関紙会館)では東アジア世界の中での外的刺激を日本書紀編纂の原因とする遠藤慶太氏の大会報告に対して『日本書紀』編纂の論理からの批判を行い、同時に『書記』と神祇令との共通性を指摘した。 (2)神祇式について 平安時代初頭から編纂された施行細則・変更法の修正である『延喜式』の中の神祇式については、その伊勢大神宮式について、第一回の式の集成である弘仁式の編纂に重点を置き、伊勢神宮の周辺の在地社会への中央の統制、中央の中での祭祀を掌る氏族と王権との関係が条文に影響を与えていることを指摘した論文「『延暦儀式帳』撰進と弘仁大神宮式編纂の政治的背景-延喜伊勢大神宮式の前提」が『法制史学会60周年記念若手論文集『法の流通』(慈学社、2009年)に掲載された。 また第二回の集成である貞観式について、日本史研究会古代史部会(於機関紙会館)・祭祀史料研究会(於同志社大学)で報告「石清水八幡宮の成立と九世紀王権」を行い、摂関政治の確立の中で藤原氏と結びついた新しい神社である石清水八幡宮の成立過程を、八幡宮伝来ではない史料から改めて論じ、その上で同時代に行われていた祭祀が必ずしも貞観式とそれを継承した延喜式において重視されているわけではないことを論じた。
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Research Products
(4 results)