2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07137
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
木村 元 Waseda University, 理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | クロマチン繊維 / ゲノム収納 / DNAの機械的特性 / in silicoモデリング / 染色体 |
Research Abstract |
間期クロマチンの三次元構造は、転写をはじめとする様々な核内現象の舞台となる基盤構造である。しかし、10nmクロマチン繊維よりも高次の階層における収納機構については不明な点が多い。本年度はその実体を解明するため、間期クロマチン構造のモデル構築を行なった。まず、出芽酵母におけるヌクレオソームのポジショニングのデータ(Segal, et al., Nature, 2006)および原子間力顕微鏡を用いて独自に測定したDNA分子の持続長のデータを基にすることにより、10nmクロマチン繊維のモデル化に成功した。このモデルにおいてリンカーDNAは"みみず鎖モデル"を用いて記述され、各々の領域の機械的特性(DNA分子の硬さ・柔らかさの特性)に従った軌道をとる。次に、10nmクロマチン繊維がとる三次元構造を500回以上計算し、実験データとの比較を行なった。その結果、ゲノム上の2点間の三次元的な距離において、既に報告のある実験データ全てとよい一致を示すことが明らかになった。このような結果から、間期クロマチン構造は、主にヌクレオソームのポジショニングとリンカーDNAの柔軟性によって規定される10nmクロマチン繊維の三次元的な拡がりとして構築されている可能性が示唆された。この他、我々はこれまでに、ヒトをはじめとする真核生物ゲノムを対象として柔軟性マップを作成し、個々の染色体に柔軟性における特異領域(際立って柔軟な領域:以下SPIKE)が数Mbおきに存在することを発見していた。本年度は、ゲノムの収納機構におけるSPIKEの機能を明らかにするため、クロマチン内におけるSPIKEの配置や動態の解析に着手した。ヒト正常繊維芽細胞WI-38を用いて、21番染色体におけるSPIKEと対照領域の配置の比較をFISH法により行ったところ、SPIKE同士がより近くに存在する可能性が示唆された。
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Research Products
(4 results)