2009 Fiscal Year Annual Research Report
鋼構造立体骨組の設計レベルから崩壊に至るまでの終局耐震性能評価
Project/Area Number |
09J07172
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
島田 侑子 Tokyo Institute of Technology, 大学院・総合理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 鋼構造建物 / 実大実験 / 振動台 / 大変形領域 / 崩壊メカニズム / 3次元 / 倒壊挙動 |
Research Abstract |
今年度は現在までの設計や研究をベースとして,2007年に実施された実大4層鉄骨造建物の完全崩壊実験における倒壊挙動,及び耐震性能を詳細に分析した. 現行の耐震設計に基づいて設計・施工された鉄骨造建物(以下試験体)に鷹取原波を入力したところ,1層における全ての柱脚と柱頭で耐力劣化が生じ,ほぼ一方向に大きく変形を生じた後,鉛直荷重支持能力を喪失して倒壊した.このことは現行の耐震設計に基づいて建築された中低層建物であっても,過大な地震動を受ける場合,特に幅厚比の大きな角形鋼管柱を用いた場合は全塑性耐力到達後に局部座屈による耐力劣化が早期に生じるため,建物が倒壊しやすいことを示す.試験体が層崩壊に至った大きな要因は二軸曲げと付加軸力を受けた柱耐力の低下,鋼材の歪硬化や床スラブの合成効果によって梁及びパネルの剛性が上昇したことであった.また試験体が倒壊に至るまでの過程をエネルギーの授受により検討し,倒壊に至らしめた支配的な要因はPΔ効果ではなく,塑性化の進行により試験体の周期が延びて長周期側の大きなエネルギーが入力され,更に塑性化の進行がもたらされたことであった.なお設計で想定する最大入力レベルである最大層間変形角1/50を生じた加振時に対する,倒壊時の崩壊メカニズムが移行した直後の全層のエネルギー吸収量の割合は1.6~2.0倍であり,この値は試験体が有する倒壊までの安全余裕度に相当する. 完全崩壊実験の結果を受け,倒壊に関わる要因を検討した,まず,二方向入力を再現できるMSSモデルを用いた弾塑性応答解析を行い,入力波の種類や加振レベル,回数が変化しても倒壊時は一方向に変形が偏ることを確認した.
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Research Products
(7 results)