2010 Fiscal Year Annual Research Report
アポロ月面重力計データを用いた月震波解析と月内部構造の推定
Project/Area Number |
09J07206
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
川村 太一 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 惑星科学 / 月科学 / 地震学 / 地球物理学探査 |
Research Abstract |
本研究課題は過去の月震観測データに加えて、月面重力計のデータを用いた月震波解析、月内部構造推定を行うことで先行研究よりも精度のよい月内部構造モデルを作成することを目標としていた。昨年度の研究により、月面重力計のデータの解析、評価を行った結果、先行研究よりも有意に精度が高い月内部構造の推定を行うためには月面重力計データを加えるのみでなく、重力計データおよび、他の月震系データの処理方法についても再検討する必要があることがわかった。そこで今年度の研究では月震データの処理方法の検討を中心に行った。そこで取り組んだことが長周期月震計データと短周期月震計データを用いた複合的な解析である。アポロの月震観測は長周期、短周期の二種類の月震系を用いて行われたが過去の研究ではその一方のみを用いた研究がほとんどであった。2つの月震計が同じ地動を異なる周波数で観測していたことを考慮するとその両方のデータを用いることでデータを広帯域化し、より広い周波数帯での解析が可能となる。この手法を用いて長周期データと短周期データを数値的に結合し、両帯域をカバーした連続スペクトルを作成することに成功した。さらにその解析から隕石衝突の月震データを用いて隕石衝突のコーナー周波数を推定することに成功した。地震学ではコーナー周波数は震源のメカニズムと密接に関係していることが知られており、その推定により、震源での破壊の様子、破壊の伝搬に関する情報を得ることが出来ると考えられる。またその周波数特性から月内部の減衰の様子を推定することが可能となりこれは内部構造を考える上で重要な情報となる。今後は月面重力計のデータを用いることに加え、周波数特性の情報を加味した上でよりよい内部構造推定を試みていく。
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Research Products
(5 results)