2009 Fiscal Year Annual Research Report
HIV脱殻素過程に関与する宿主因子の探索とその制御機構の解明
Project/Area Number |
09J07212
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
井上 睦美 Kumamoto University, 薬学教育部, 特別研究員(DC2)
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Keywords | HIV / カプシドタンパク質 / 脱殻 / リン酸化 / ペプチジルプロリルイソメラーゼPin1 |
Research Abstract |
現在AIDSの根治療法は確立しておらず、副作用や薬剤耐性ウイルスの出現に関する問題が深刻化している。そこで、既存の治療薬とは全く異なる次世代の抗HIV剤を開発するために、HIV複製過程のうち、未だ十分に解析が進んでいない脱殻過程に注目し、脱殻メカニズムの解明及び新規治療標的の探索を試みた。 まず、申請者がHIV-1脱殻因子として同定したPin1による脱殻の制御機構を明らかにするために、カプシド(CA)変異体やPin1変異体、リン酸化CA特異的抗体などを用いた詳細な解析を行った。その結果、CAコアはウイルス産生細胞内ではリン酸化を受けておらず、出芽後のウイルス粒子内でリン酸化されることがわかった。また、アルカリフォスファターゼを用いたin vitro脱殻アッセイ(Virology 337(2005)93-101を改変)により、Pin1はCAコアがリン酸化を受けることによって初めて脱殻作用を示すことがわかった。これらの結果は、ウイルス粒子内のリン酸化反応を阻害することによって、脱殻を阻止しうることを示唆している。現在、ウイルス粒子内に取り込まれるリン酸化酵素について解析中である。 さらに、CAコアの翻訳時・翻訳後修飾情報の蓄積を目的としたHIV-1粒子のプロテオーム解析にも取り組んでおり、新たに導入されたMALDI TOF MS/MSを駆使することによって、脱殻メカニズムの解明に有用な情報が得られるものと考えられる。
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Research Products
(3 results)