Research Abstract |
本年度は研究目標のうち,MEMS技術を用いて3軸方向の力計測が可能なフレキシブルセンサシートを製作し,その耐久性について評価した.また,クッション座面上にセンサを複数配置した際のせん断力応答を計測した.さらに,計測の正確性について考察するため,センサ構造を成す要素のシリコーンゴム部とカンチレバー部(力検出部)の遅延時間の計測実験を行った, 昨年度に引き続き製作した力センサシートは,MEMS技術を用いて製作した力センサを柔軟な材料であるシリコーンゴム(Polydimethylsiloxane,以下,PDMS)に埋め込むことで,薄くて柔らかいシート形状を実現している.力センサの大きさは2mm×2mmである.この製作した力センサシートの想定使用状況に対する耐久性に関して考察を行うため,試験用センサに対して圧力,せん断力の負荷試験を行い,試験用センサが破損した際のせん断力を計測した.その結果,本研究で製作した力センサシートの破断に要するせん断力はおよそ50kPaということが分かり,想定使用状況において問題ない耐久性を持つということが分かった. さらに,製作した力センサシートをクッション上に3つ配置し,座位において坐骨結節周辺とクッションとの間に働くせん断力分布を計測した.計測結果より,2kPaから10kPa程度のせん断力が坐骨結節周辺に働くことが分かった.また,坐骨結節の外側の位置に設置したセンサにかかるせん断力は,坐骨結節の前面,背面に配置した二つのセンサよりも小さい傾向が見られた. 一方,センサを構成するPDMSは柔軟な弾性物体であるため,力検出部であるカンチレバーがセンサ入力である外力に対して遅れなく応答可能かどうか,センサ表面に変位加振を与えて考察した.その結果,厚さ1mmから2mm程度の力センサシートは,座面にかかる力を計測する際に遅延することなく応答することが確認できた。
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