2010 Fiscal Year Annual Research Report
転位コア構造制御とドーパントによる転位機能特性の発現
Project/Area Number |
09J07232
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
栃木 栄太 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | アルミナ / 粒界 / 転位 / 偏析 / 透過型電子顕微鏡 |
Research Abstract |
転位は結晶塑性に深く関与することが知られており古くから研究されているが、転位構造制御指針や転位コアとドーパントとの相互作用に関しては未だ不明な点が多い。そこで本研究では、代表的セラミックスであるアルミナをモデル材とし、転位構造制御手法の開発と転位-ドーパント間の相互作用を明らかにすることを目的とした。2枚のアルミナ(0001)単結晶基板を熱拡散接合し、(0001)/[0001]小角ねじり粒界を含む双結晶を作製した。この双結晶より粒界を含む(0001)薄膜へと加工し、透過型電子顕微鏡(TEM)観察用試料とした。TEM解析の結果、粒界には六角形状の転位ネットワークが形成されており、それぞれの転位は1/3<1-210>らせん転位であることが分かった。さらに、高分解能TEMにより{1-210}薄膜試料中のらせん転位のコア原子構造を解析したところ、1/3<1-210>らせん転位は分解していないことが明らかとなった。次に、1/3<1-210>らせん転位ネットワークに効率的にドーパントを導入するため、金属元素を表面に薄くコーティングした(0001)単結晶基板を熱拡散接合し、先と同様の方位関係を有する双結晶を作製した。本実験ではドーパントとしてバルクに固溶しにくいErを選択した。TEM解析の結果、粒界には転位構造は基本的に無添加の粒界と同一であることが分かった。また、高角度環状暗視野-走査透過型電子顕微鏡法による解析の結果、らせん転位コアのおよそ半径0.5nmの範囲にErの偏析が認められた。従って、本手法はらせん転位ネットワークへのドーパント偏析に有効であると言える。Erの偏析分布は比較的ランダムであったことから、らせん転位に関しては偏析サイトが一意に決定されないと考えられる。このことは転位へのドーパント偏析現象において重要な知見である。
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Research Products
(6 results)