2009 Fiscal Year Annual Research Report
魚類の無魚粉飼料における抗栄養因子の生理障害作用とその防除に関する研究
Project/Area Number |
09J07381
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
岩下 恭朗 Tokai University, 生物科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大豆油粕 / 抗栄養因子 / ニジマス / 大豆サポニン / 大豆レクチン / タウロコール酸 / タウロケノデオキシコール酸 / 発酵 |
Research Abstract |
大豆油粕(SBM)は魚粉に替わる養魚飼料の主原料として有望視されているが,ニジマス等の肉食性魚類ではSBM主体飼料を給与すると生理障害に起因した成長不良が生じることが報告されている。本研究はSBM主体飼料を給与した魚類の生理障害のメカニズムの解明およびその防除策の開発,応用を目的とし当該年度は以下の成果を公表した。1.カゼイン飼料に添加した大豆のサポニン(S)とレクチン(L)およびタウロコール酸(C-T)がニジマスの腸管組織および胆のう胆汁塩に及ぼす影響:C-T無添加のS添加区では直腸の粘膜上皮細胞に組織変性がみられ,SとLを併用添加した区では粘膜固有層の増生も認められた。SやLにC-Tを併用添加した区ではこれらは改善した。以上のことから,SBM飼料給与時の直腸粘膜固有層の組織変性はSとLの相乗作用によるものであり,胆汁塩の強化によりこれらの変性が改善すると示唆された。2.飼料に添加したタウロケノデオキシコール酸(CDC-T)がニジマスの肝臓組織に及ぼす影響:CDC-Tを0.5%添加したカゼイン飼料区(0.5CDC-T区)およびSBM飼料区では胆のう胆汁中のCDC-Tの割合が対照区より増加していた。また,0.5CDC-T区の肝臓では肝細胞の萎縮が認められ,その組織像はSBM区に類似していた。このことから,SBM飼料を給与したニジマスの肝臓組織変性には胆汁中のCDC-Tの増加が関与している可能性が考えられた。3.ニジマス用飼料における発酵大豆油粕配合の腸管および肝臓の組織変性改善効果:加水量40%で10時間発酵させたSBMを主体とした飼料区では未処理のSBM主体飼料区で認められた肝臓および直腸の組織変性は改善し,その組織像は魚粉飼料区とほぼ同様であった。このことから,十分に発酵させたSBMは通常のSBM飼料を給与したニジマスの組織変性の改善に有効であることが示唆された。
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Research Products
(2 results)