2009 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性フォトニック結晶を用いた高出力マイクロチップレーザ用Qスイッチの開発
Project/Area Number |
09J07394
|
Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
後藤 太一 Toyohashi University of Technology, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 磁性フォトニック結晶 / 共振器レーザー / デュアルキャビティー構造 / Nd:GdVO4結晶 / Qスイッチ / マトリクスアプローチ法 / 磁気光学効果 / 近赤外波長 |
Research Abstract |
ナノ磁性フォトニック結晶をレーザー共振器のQスイッチへと応用する目的で、1:Qスイッチに最適なナノ磁性フォトニック結晶の構造探査、2:共振器レーザー光学系の組み立て及び磁気光学効果によるオプティカルスイッチング動作の確認を行った。 1、本研究は、大きな出力光が得られ安価な材料が多い近赤外光を用いる。この波長域において磁気光学材料は吸収が無いことから、スイッチング材料として有望なのであるが、磁気光学効果は極めて小さい。そこで、吸収をゼロとしたまま磁気光学効果の増大が可能なナノ磁性フォトニック結晶を用いた。今まで1つであったナノ磁性フォトニック結晶のキャビティーを2つとし、モードカップリングされた構造(デュアルキャビティー構造)を、マトリクスアプローチ法を用いて探査した結果、高い透光性を有したまま大きな磁気光学効果が得られるという知見が得られた。本計算結果に基づき、まずは原理実証用の単純な構造の試料を設計し、デュアルキャビティー構造の作製を行った。作製した試料の磁気光学及び光学特性の評価結果を解析したところ、ナノ磁性フォトニック結晶に必要な定量的な膜厚制御精度を明らかにできた。また、熱処理による2つのキャビティー間での不均衡が磁気光学効果の低下に大きく関係することが分かった。 2、レーザー共振器のQスイッチ動作を確認する目的で、レーザー共振器光学系の構築を行った。Nd:GdVO4結晶を波長808nmのポンプ光で励起し波長1064nm発振させレーザー共振器としての動作を確認した。また、バルクのBi:YIG結晶を用意し電磁石によって磁化を制御することで、1:8000という非常に大きなスイッチングレートを得ることができた。ON時の透過率は非常に高く、スイッチング素子として他の効果を利用した素子と同等の機能を有することを明らかにした。
|