2010 Fiscal Year Annual Research Report
ナノ磁性フォトニック結晶を用いた高出力マイクロチップレーザ用Qスイッチの開発
Project/Area Number |
09J07394
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Research Institution | Toyohashi University of Technology |
Principal Investigator |
後藤 太一 豊橋技術科学大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 磁気光学効果 / デュアルキャビティ / 直接接着法 / マイクロチップレーザ / Qスイッチ / 表面粗さ / 磁性ガーネット / ナノ磁性フォトニック結晶 |
Research Abstract |
磁性ガーネットを誘電体ミラーで挟んだ構造をもつ、ナノ磁性フォトニック結晶は、可視光領域で、高い透過率と大きな磁気光学効果をもつ。さらに、先の研究より、質量を持たないスピンを制御することで、偏光角を制御することが可能なため、数十ナノ秒の高速光スイッチが可能なことが実験的に明らかになってきている。これら、ナノ磁性フォトニック結晶の特徴は、手のひらサイズのマイクロチップレーザ内で重要な役割を果たすQスイッチとして利点が多いと考え応用研究を行っている。昨年度の研究で明らかになった誘電体ミラー内に2つの欠陥層をもつ構造(デュアルキャビティー構造)の作製プロセスの開発を試みた。磁性ガーネットは、成膜後に高い温度での結晶化熱処理が必要になるため、下部誘電体ミラーの膜構造を劣化させ、表面粗さを増大させる。デュアルキャビティ構造は、磁性ガーネットが2層あるため、熱処理も2回となり、膜構造劣化と表面粗さも増える。そこで、欠陥層が1つのシングルキャビティー構造を2つ作製し、2つを接着するプロセスを考えた。光の波長オーダーでの接着が必要になることから、原子レベルでの接着が可能な直接接着法の利用を採用した。スパッタ法により作製したシングルキャビティー構造の表面をイオンビームにより僅かに削り、純水洗浄を施すことで親水基を抜き出しにした状態を作り出し、デュアルキャビティ構造の作製を行った。作製された試料の特性値は、目的を達するまでに至っていないが、2つの欠陥層間でのカップリングを示すフォトニックバンドギャップ中の透過率のピークを示した。接着面の拡大と、接着強度の増大によって、改善の余地があると考えている。本内容は、磁気光学の分野で新規な知見であることから、学術雑誌及び、学会で報告した。
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