2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07423
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
林 朋美 The University of Tokyo, 大学院・新領域創成科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 植物細胞 / 細胞分裂 / 染色体分配 / 紡錘体微小管 |
Research Abstract |
本研究は、植物細胞における分裂装置の構築機構とそれを反映する染色体分配様式が、進化の過程においてどのように変化してきたのかを明らかにすることを目的としています。本年度は、遺伝学的解析も可能なシロイヌナズナ植物体内で染色体と微小管を二重に可視化した細胞株と共焦点レーザー顕微鏡システムを用いた高時空間分解能をもつ実験観察系を確立しました。この実験観察系の確立により、これまで困難であった、分裂頻度の高い組織である根の先端の細胞におけるリアルタイムでの分裂の観察が容易になりました。シロイヌナズナの根端細胞における分裂後期の紡錘体伸長を測定したところ、BY-2細胞と同様の染色体分配様式であることが示されました。進化的な面からのアプローチとして用いたヒメツリガネゴケでは、紡錘体微小管の伸長過程に着目しました。後期の紡錘体長の推移を調べると、ヒメツリガネゴケでも後期に紡錘体が伸長することが明らかとなり、ヒメツリガネゴケにおいても後期Bが存在することが示唆されました。この結果をふまえ、BY-2細胞、シロイヌナズナ根端細胞、ヒメツリガネゴケ原糸体細胞において算出した後期紡錘体の伸長率を比較しました。その結果3種類のモデル細胞系では同程度の伸長率であることが示され、陸上植物の細胞分裂において、後期Bは一般的に起こることが示唆されました。陸上植物の細胞は、中心体を持たず、星状体微小管に依らない紡錘体伸長機構を発達させ、細胞形態と紡錘体構造の双方に依存した染色体分配様式を持つと考えられます。本年度の結果とこれまでに報告されている他生物の研究の結果から、細胞形態と紡錘体の相対的な体積に着目し、植物細胞の染色体分配における後期Aと後期Bのバランスを決定する機構のモデルを提案しました。
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Research Products
(3 results)