2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07434
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
矢崎 さなみ The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 液晶 / イオン伝導性材料 / 酸化還元 / エレクトロクロミズム |
Research Abstract |
申請者は、液晶の分子構造に刺激応答性部位を導入し、分子の形や相互作用を工夫することで、さまざまな外部刺激に応答する液晶性イオンチャンネルを開発してきた。本年度は、電子活性部位を導入したイオンチャンネルを開発し、電圧印加に応答して色が可逆に変わるイオン性液晶の開発とその特性向上に成功した。電子活性とイオン伝導性という2つの機能を、液晶のナノ構造を利用することでで高効率に組み合わせた。電子活性とイオン活性の融合は、センサーやエレクトロクロミック材料など、さまざまな電子デバイスへの応用展開が期待される。 申請者は、イオン伝導性のイミダゾリウム塩部位と電子活性なπ共役部位から成るイオン性スメクチック液晶を開発した。π共役部位とイミダゾリウム塩部位がナノ相分離により別々に凝集し、イオン伝導パスと電子性キャリアの輸送パスが分離して組織化した積層構造が形成されていることが、X線回折測定から示唆された。この液晶を透明電極セルに封入し電圧を印加すると、可逆な色変化が観測された。電圧印加によりイオンが電極付近に集まり、電極界面で高い電圧がかかることによって電極から液晶分子に電子性キャリアが注入されたと考えられる。この電子性キャリアがπ共役部位からなる電子性キャリアの輸送パスを伝導し、大きな色変化が観測されたと考えられる。さらに、陰極と陽極での電気化学反応がともに効率的に進むことで、この液晶バルク状態でのエレクトロクロミズムがより効率的に起こると考えた。ここで、液晶分子構造のπ共役部位を工夫することや電極を修飾することにより、エレクトロクロミズムの応答速度や駆動電圧の向上に成功した。
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Research Products
(2 results)