2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07445
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
椿野 大輔 東京大学, 大学院・情報理工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 制御理論 / 分布定数系 / 数値解析 / 階層化モデリング / 中心対称性 / 階層化システム |
Research Abstract |
本研究は、熱、歪み、速度場などの空間に分布した状態量を持つシステムである分布定数系に対して、空間離散化などの数値解析手法を取り入れ、新しい制御および解析の枠組みを構築することを目的としている。平成21年度の主な成果は以下の通りである。まず、1次元放物型の分布定数系の階層的な空間離散化法を提案し、サブシステムとそれらの相互接続でモデル化される階層化マルチエージェントシステムの枠組みを適用できることを示した。そして、提案した表現をもとに、1.「中心対称性」、2.「相互接続の低ランク性」、という2種類の特徴を一般化させ解析を行った。1では、多くの数値計算スキームがある対称構造を誘導することに着目し、中心対称システムとその縦列結合という新しいシステムのとらえ方を示した。そして、システム全体の固有値分布がより小さい次数のいくつかのサブシステムの固有値に分解できることを示し、それを用いた静的安定化分散制御器の設計法を提案した。これは、高次元の安定化問題が小さな次元の問題に帰着できるという実用的な面を持っている。2は、提案した表現の別の側面である、相互接続の低ランク性に注目したものである。まず、これまでほとんど注目されてこなかった、固有ベクトルを用いた相互接続の特徴付けを提案した。これは、これまで個別に得られていた、いくつかの先行研究の結果を統一的に含む新しい枠組みである。そして、システムの固有値分布の特異性を示し、それらを用いた階層化接続構造の逐次的な設計法を提案した。また、1に関連した第38回制御理論シンポジウムにおける発表で計測自動制御学会学術奨励賞を受賞した。最後に、階層的に表現された分布定数系に、近年注目されているバックステッピング法を適用すること考えた。本年度は十分な結果は得られなかったが、次年度の状態推定問題における結果の大きな足がかりとなった。
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Research Products
(2 results)