2009 Fiscal Year Annual Research Report
糖脂質クラスターを舞台とする生体認識現象への分子構造論的アプローチ
Project/Area Number |
09J07465
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
矢木 真穂 Nagoya City University, 大学院・薬学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ガングリオシド / 糖脂質クラスター / 小型バイセル / 核磁気共鳴法 / アミロイドβ |
Research Abstract |
本研究は、糖脂質クラスターを舞台とする生体認識機構について分子構造論的に理解することを目的としている。一般に糖脂質は、クラスターを形成することにより、様々な生体認識に関与していることが知られている。生体認識の場としての糖脂質の役割に着目した場合、単一分子としての糖脂質ではなく、分子集合体としての構造を捉える必要がある。そこで本年度は、ガングリオシドを含有した小型バイセルを調製し、糖脂質クラスターの構造情報を抽出するための基盤構築を試みた。その結果、GM1含有小型バイセルの調製法を確立することが可能となり、NMR測定に適したサイズのクラスターモデル系を構築することに成功した。さらに、糖脂質クラスターの糖鎖-糖鎖相互作用の同定に向けたアプローチとして、アセチル基に選択的に^<13>C標識を施したGM1誘導体の作製を行った。一方、水溶液中においてGM1に比べて小型のミセルを形成するlyso-GM1に着目し、超高磁場NMRと分子動力学計算を組み合わせた解析を行った。その結果、水溶液中でミセルを形成している状態のlyso-GM1の糖鎖部分のコンフォメーションを決定することに成功した。さらに、GM1クラスターと結合することによりアルツハイマー病発症に関与するアミロイドβペプチド(Aβ)を対象とし、GM1クラスターとの相互作用解析に取り組んだ。CDおよびNMR解析の結果から、AβがGM1クラスターの親水領域と疎水領域のインターフェースにおいて一定のトポロジーを呈して捕捉されていることを明らかとした。この結果は、GM1がクラスター化することによりAβの構造変化と分子間相互作用を誘起するための限定された空間を提供していることを示しており、糖脂質クラスターを舞台とするアミロイド形成一般に通ずる新規な分子メカニズムを提起するものである。
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Research Products
(8 results)
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[Journal Article] Redox-dependent domain rearrangement of protein disulfide isomerase coupled with exposure of its substrate-binding hydrophobic surface2010
Author(s)
Olivier Serve, Yukiko Kamiya, Aya Maeno, Michiko Nakano, Chiho Murakami, Hiroaki Sasakawa, Yoshiki Yamaguchi, Takushi Harada, Eiji Kurimoto, Maho Yagi-Utsumi, Takeshi Iguchi, Kenji Inaba, Jun Kikuchi, Osamu Asami, Tsutomu Kajino, Toshihiko Oka, Masayoshi Nakasako, Koichi Kato
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Journal Title
Journal of Molecular Biology 396
Pages: 361-374
Peer Reviewed
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