2009 Fiscal Year Annual Research Report
色素体核様体タンパク質が担う新奇レトログレードシグナルに関する研究
Project/Area Number |
09J07485
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
八木 祐介 Kyoto Prefectural University, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 色素体 / 色素体転写 / チオレドキシン / 病理応答 |
Research Abstract |
植物特有のオルガネラの一つである色素体が、植物病傷害ストレス時においてどのように関わっているかほとんど分かっていない。チオレドキシンタンパク質CITRX(Cf-9-interacting thioredoxin)は、植物病害ストレスの防御シグナル伝達に重要な細胞膜受容体Cf9の結合因子として他グループの研究より見いだされたが、申請者の先攻研究より色素体局在タンパク質であることが分かった。本研究では、CITRXの局在の矛盾に着目し、CITRXはストレス時に局在が変化することで、色素体内の機能が低下し、そのことがシグナル(レトログレードシグナル)になるのではないかと考えた。本年度は、特にCITRXの色素体内での真の機能を解明することに重点をおいて研究を行なった。まず、CITRXの細胞内局在について詳細に調べた。その結果、CITRXは色素体DNAが存在する色素体核様体に局在することが分かった。しかし、細胞膜への局在は検出されなかった。さらにcitrx変異体を単離し、色素体遺伝子の発現について調べた。色素体内では光合成遺伝子を転写する細菌型転写装置とそれ以外のファージ型転写装置が働いている。citrx変異体では、細菌型転写装置が転写する一群の色素体遺伝子の発現が顕著に低下していた。これらのことからCITRXは色素体核様体で細菌型転写装置の制御に関わっていることが示唆された。さらに酵母ツーハイブリッド法を用いてCITRX結合因子のスクリーニングを行なった。その結果、糖代謝に関わることが予想される因子を同定した。さらにその結合因子の局在を調べた結果、CITRXと同じく色素体核様体へ局在した。またBiFC法により両者が色素体核様体上で複合体を形成することが証明された。以上の結果からRedoxと糖代謝の両シグナルにより色素体核様体が制御されるという未知の機構の可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)