2010 Fiscal Year Annual Research Report
色素体核様体タンパク質が担う新奇レトログレードシグナルに関する研究
Project/Area Number |
09J07485
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Research Institution | Kyoto Prefectural University |
Principal Investigator |
八木 祐介 京都府立大学, 生命環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 色素体 / チオレドキシン / 色素体転写 |
Research Abstract |
植物特有のオルガネラの一つである色素体は独自のゲノムを持ち、色素体核様体と呼ばれる構造体にタンパク質によって折り畳まれて存在している。色素体核様体では転写、複製が行なわれていることから、色素体は"細胞核"と"核様体"の2つの司令塔に制御されている。しかし、色素体核様体がどのようなシグナル伝達の役割を持っているのか分かっていない。申請者は、病害ストレスの防御シグナル伝達に重要な細胞膜受容体cf-9に結合するチオレドキシンタンパク質CITRX(cf9-interacting thioredoxin)が、色素体核様体に局在することを発見した。本研究では、CITRXの機能解析から色素体核様体の新機能を見つける事を目的にした。前年度の研究よりCITRXは色素体核様体以外(細胞膜)には局在しないこと、CITRX欠損変異体は色素体転写が阻害され色素体分化が起きなくなること、結合因子として糖代謝に関わることが示唆されるPFKが得られた。本年度は、PFK-CITRX複合体の解析、PFK変異体の解析、CITRXが色素体ゲノム上でどのような位置で分布しているのか、という点を中心に行なった。その結果、CITRXとPFKは色素体核様体上で複合体を形成し、CITRXはRNAポリメラーゼの結合しているDNAの位置と非常によく似た結合分布をしていることが分かった。このことは、色素体における転写とレドックス制御が関わる糖代謝系が核様体で密接に関わっているという新しい可能性を示した。さらに興味深い事にPFK1変異体では生殖器官の発達阻害という予期しない表現型が得られた。このことから、色素体核様体タンパク質の生殖細胞発達過程への関与、という全く新しい知見を得ることが出来た。
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Research Products
(1 results)