2009 Fiscal Year Annual Research Report
弱重力レンズ効果の高精度解析法の開発とそれを用いた宇宙の暗黒成分の探査
Project/Area Number |
09J07496
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮武 広直 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 宇宙論 / ダークエネルギー / ダークマター / 重力レンズ |
Research Abstract |
本研究では、宇宙論的弱重力レンズ効果宇宙を用いて暗黒成分(ダークマター・ダークエネルギー)の性質、及びそれに関連する宇宙論パラメータに新しい制限を付けることが目的である。このためには今までにない高精度弱重力レンズ効果解析法を開発し、測定の系統誤差を押さえ込む必要がある。弱重力レンズ効果は遠方銀河の歪みとして観測される。この系統誤差の要因はCCDのピクセルの特性やノイズ、大気揺らぎ、測定機器の位置決め誤差などにより発生する、重力レンズ効果以外の2次的ノイズ(像の広がり、歪み)である。本年度は2次的ノイズを補正する高精度弱重力レンズ効果の解析法の開発を行った。 星は、銀河よりも近傍にあるため弱重力レンズ効果を受けないため、ほぼ点源かつ完全な円として観測されるはずであるが、望遠鏡を通して見たときには2次的ノイズにより広がり、歪んでいる。逆に、星の形状を精密に測定し、元の星の形状に戻す逆変換を求めて、それを銀河に適用すれば2次的ノイズを補正することが可能である。本研究では、この2次的ノイズを従来よりも数学的により精密に定量化した。これを用いて弱重力レンズ効果を測定するアルゴリズムを計算機上に実装した。銀河像に弱重力レンズ効果と2次的ノイズを付加したシミュレーションデータを作成し、これに新しく開発した解析手法を適用して得られたシグナルと真の値を比較することにより、測定精度・計算速度などの測定手法の改善を行っている。また、本研究は国内外の研究者の議論を活発に行いつつ進めてきた。 次年度以降はこの測定手法の改善を続けるとともに、実際のデータを用いた解析も行う予定である。
|