2009 Fiscal Year Annual Research Report
単一細胞プロテオミクスに向けたタンパク質高分離ナノデバイスの開発
Project/Area Number |
09J07507
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石橋 亮 The University of Tokyo, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ナノ流体 / 液体クロマトグラフィー / マイクロチップ / タンパク質分離 / 拡張ナノ空間 |
Research Abstract |
【本年度の目的】 拡張ナノ空間を利用した分離デバイスを設計・作製する。また、そのデバイスを用い分離を実証し評価を行う。 【デバイス作製、装置のセットアップ】 電子線リソグラフィーとプラズマエッチングによって、合成石英ガラス基板上に、深さ220nm、幅910nm、の十字型のナノチャネルを作製した。これを幅250μm、深さ3μmのマイクロチャネルに介し、試料バイアル、圧力コントローラーに接続した。これにより、十字型のナノチャネルの4方向の出口の圧力の制御に成功した。 【試料のインジェクション】 試料バンドを分離チャネルにインジェクションのために、まず3方向から圧力を加え、縦方向の試料導入チャネルから試料を導入した。この際、横から圧力を加えることにより流れを発生させ、横方向の分離チャネルに試料が拡散しないように圧力を制御した。続いて、圧力を切り替え、横方向のみから圧力を加え試料バンドを切り取り、分離チャネルへのインジェクションを行った。これにより550aLもの微量な試料切り取りを実現した。 【試料の分離、評価】 フルオレセイン、スルホローダミンの2種類の混合溶液(各50μM)を試料として用い、インジェクション部から1400μm地点の蛍光観察により、クロマトグラムを得た。その結果、二つの試料が拡張ナノチャネルの壁の影響のみで分離され、充填材不要の分離を実証した。また、最高理論段数は475,000段/mとなり、従来のHPLCの5倍以上もの分離効率が得られた。このような高効率の分離は、壁面の影響が大きく発現する拡張ナノチャネル特有の特徴であると考えられ、単一細胞プロテオミクスに向けたタンパク質高分離ナルデバイスの開発に向けての大きな一歩を踏み出すことができたと言える。
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Research Products
(5 results)