2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07525
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 紀子 慶應義塾大学, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハシブトガラス / カラス科 / 個体認知 / expectancy violation procedure |
Research Abstract |
ハシブトガラスの個体認知における視聴覚情報統合の検証 社会的動物は他個体を認知する必要がある。個体認知の際には、他個体についての個体ごとに異なる感覚情報や、社会的情報を統合させていると考えられる。本研究では、ハシブトガラスが他個体について、視覚情報と聴覚情報を統合させて個体認知を行っているかを検証した。哺乳類の認知研究で使われている、expectancy violation procedureを用いて実験をおこなった。その結果、ハシブトガラスは既知個体については視聴覚情報を統合させて個体認知をおこなっている可能性が示唆された。未知個体については、視聴覚情報を統合していることは示唆されなかった。未知個体については視聴覚情報を統合させる機会がこれまでになかったためと考えられる。以上の結果は、ハシブトガラスが既知個体と未知個体を区別し、既知個体については視聴覚情報を統合させて個体認知をおこなっていることを示唆するものである。本研究の結果は、高い社会性をもっとされるカラス科鳥類の基礎的な認知機能を明らかにした点で意義がある。また、expectancy violation procedureが鳥類にも適応可能であることを示したため、今後の鳥類の認知機能研究の発展に貢献するものである。 ハシブトガラスにおける視覚個体弁別の検証 ハシブトガラスが視覚と聴覚を使って個体認知をおこなっていることが示唆されているが、他個体の顔を区別することができるかを検証した。既知の3個体の横顔の写真をタッチパネル上に提示し、特定の個体の写真をつつくことで餌がもらえるような訓練をおこなった。現在までのところ、4個体中2個体が課題を学習することができたが、同じ刺激個体の右向きの写真を提示したテストでは、般化がみられなかった。 今後は、刺激写真を増やすとともに、顔の形態的な個体差を計測する必要がある。
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Research Products
(3 results)