2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07525
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
近藤 紀子 Keio University, 社会学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | ハシブトガラス / 個体認知 / 音声コミュニケーション |
Research Abstract |
ハシブトガラスにおける視覚個体弁別の検証 申請者らはこれまでに、ハシブトガラスが異なる個体のコンタクトコールを弁別できることを示した。野外での彼らの生活においては、音声同様視覚も重要な役割を果たしていると考えられる。本研究では、飼育下のハシブトガラスに既知個体の写真を弁別させるという課題をおこなった。結果、5個体中2個体が各刺激個体につき1つの訓練刺激で訓練されただけで、3つの新規刺激に対して般化をみせた。今後、刺激として既知個体が提示された場合と、未知個体が提示された場合とで、訓練の過程あるいはテストで成績に違いがみられるかを調べる必要がある。 個体認知における視覚-聴覚情報の統合の検証 ハシブトガラスが個体認知の際に視覚と聴覚の両方を手がかりとしているならば、情報の統合がおこなわれていなければならない。そこで、本研究では、オペラント課題で聴覚刺激と視覚刺激のマッチングをおこなった。しかし、課題の困難さのためか、被験体がまったく反応しなくなってしまったため、現在は訓練を中止している。今後、よりカラスの反応を引き出しやすい方法で検証を続ける。 視認性がカラスのコンタクトコール発声頻度に及ぼす影響 ハシブトガラスは単発のコールをコンタクトコールとして用いていることが、申請者らの野外観察によって明らかになっている。コンタクトコールを鳴くのにはさまざまな環境要因が介在していることが考えられるが、その一つに視認性がある。霊長類では視認性が悪くなるほど、コンタクトコール発声頻度が高いことがわかっている。本研究では、視認性の高さ、鳴き声が発せられた文脈(餌場/ねぐら)を要因として想定し、観察を行った。その結果、霊長類とは逆に、視認性が高いほど、コンタクトコールを発する頻度が高いことがわかった。これは、コンタクトコールの機能が文脈によって異なる可能性を示唆するものである。今後さらにデータを増やし、どのような環境要因が発声頻度に影響しているかを調べていく。
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Research Products
(6 results)