2009 Fiscal Year Annual Research Report
多階層の協調によるメモリシステム消費エネルギー最適化フレームワーク
Project/Area Number |
09J07589
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
高瀬 英希 Nagoya University, 情報科学研究科, 特別研究員DC1
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Keywords | 組込みシステム / 消費エネルギー最適化 / スクラッチパッドメモリ / コンパイラ / リアルタイムOS / マルチタスク環境 |
Research Abstract |
組込みシステムの消費エネルギー最適化は,非常に重要な課題である.本研究では,プロセッサ全体の約半分の消費エネルギーを占めるメモリシステムの消費エネルギー最適化を目指す. 本研究の到達点は,マルチプロセッサーマルチタスク環境において適用可能なメモリシステム管理技術を確立することである.さらに,コンパイラやリアルタイムOSといった,多階層に跨る統合的なメモリシステム消費エネルギー最適化フレームワークを開発する.その第一段階として,平成21年度では,シングルプロセッサーマルチタスク環境で適用可能なメモリシステムの効率的かつ柔軟な活用を実現するアルゴリズムの提案を行った. まず,非プリエンプティブなマルチタスク環境に対応した,スクラッチパッドメモリ(SPM)領域の効率的な分割手法を示した.提案するSPM分割方針は,消費エネルギー最小化を目的関数とした整数計画問題に定式化している. さらに,プリエンプティブな固定優先度ベースのスケジューリング方式に従って処理されるマルチタスク環境で適用可能な3種類のSPM活用戦略を提案した.空間活用法では,各タスクに与えるSPM容量およびSPMに配置するコードを静的に決定する.時間活用法では,実行状態にあるタスクがSPMの全容量を独占して使用する.混合活用法は,基礎戦略は空間活用法であるが,高優先度タスクはより低優先度のタスクの空間活用領域を時間活用法で"横取り"して活用できる. それぞれの戦略は,タスクごとに割当てるSPM容量,および,SPMへのコード配置を同時決定可能な整数計画問題に定式化している.定式化の際に,タスクの優先度を考慮し,消費エネルギー最適なSPMの活用を実現しているのが特徴である.提案手法の評価実験の結果,提案するSPM活用戦略の有効性を示した.
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Research Products
(6 results)