2009 Fiscal Year Annual Research Report
受精時における精子クロマチンリモデリング因子の網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
09J07625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 周平 The University of Tokyo, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精子形成 / プロタミン / クロマチン / ショウジョウバエ / エピジェネティクス |
Research Abstract |
一年目の本年は、受精時の精子由来のプロタミンタンパクの挙動を調べるためには、その前の精子形成において、どのようにプロタミンがヒストンに置き換わりクロマチンへと取り込まれるのかを明らかにする必要があると考え研究を始めた。 当初の予定通り、ショウジョウバエを用いた新たなアッセイ系を構築した。内容は精巣でのin vivoレポーターアッセイ系である。具体的には、精子特異的なプロタミン遺伝子のプロモーター下流にルシフェレースをつないだトランスジエニックショウジョウバエを樹立し、その精巣を取り出し、発光を測定した。この系により、生体内でのプロタミン遺伝子のプロモーター活性を測定できることから、精子特異的な転写の活性化因子、抑制化因子、クロマチン構造変換因子(プロタミン置換関連因子など)を捉えることができると考えた。 この系を利用し、スクリーニングを行った。その結果、複数の候補遺伝子を同定し、機能解析へと移行した。中でも機能未知遺伝子cg13597は、作出した機能欠失変異体が精子形成不全による雄の不妊を呈した。また、様々な解析から、この遺伝子がプロタミン遺伝子を含む精巣特異的な遺伝子群を標的とする転写活性化因子である可能性が考えられた。 また、他にプロタミンタンパクの置換に関わる候補因子を複数選択し、現在解析を進めている。それにあたり、予定通りin vitroでのプロタミンを用いた精子クロマチン再構築系の確立に重点を置いている。具体的には、候補因子とDNA、プロタミンを試験管内で反応させることで、精子クロマチンに近い構造が形成できるかどうか、現在検討中である。
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