2010 Fiscal Year Annual Research Report
受精時における精子クロマチンリモデリング因子の網羅的探索と機能解析
Project/Area Number |
09J07625
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
木村 周平 東京大学, 分子細胞生物学研究所, 特別研究員(PD)
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Keywords | 精子形成 / プロタミン / クロマチン / ショウジョウバエ / エピジェネティクス |
Research Abstract |
受精時の精子由来のプロタミンタンパクの挙動を調べるためには、その前の精子形成において、どのようにプロタミンがヒストンに置き換わりクロマチンへと取り込まれるのかを明らかにする必要があると考え、研究を始めた。すなわち、プロタミン置換に関して未知の精子形成のステップを明らかにすることで、次の受精後のプロタミンに関する新たな知見が得られると考えた。 精子特異的なヒストンシャペロンが存在し、プロタミン置換をおこなうのではないかという仮説を立て、in silico解析をおこなった。精巣特異的な発現をし、様々なヒストンシャペロンと相同性の高い因子を絞り込んだ。その結果、CG5017はヒストンシャペロンNAP1に見られるNAP様構造を持ち、精巣特異的に発現する因子であり、解析を行った。まず、cg5017の雄のnull変異体を作成したところ、ミュータントは精子変態中の核の構造異常を示し不稔である。この表現型はプロタミンの一つであるMst77Fミュータントと非常に似ていたことから、プロタミン置換に関わることが示唆された。また、生化学的なアプローチとして精巣からのCG5017にて免疫沈降産物をLC-MSによる相互作用因子の同体をしたところ、ショウジョウバエのプロタミンに相当するProtamineA/B、Mst77Fがそれぞれ取得できた。これらの結果から、精巣特異的なNAP構造を有するcg5017が精巣特異的なヒストン→プロタミン置換に関わる可能性が考えられた。現在、cg5017のヒストンシャペロン活性をin vitroで検討しているところである。
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