2009 Fiscal Year Annual Research Report
母親の適応的かかわりを高める支援モデルの構築-乳幼児-母親の関係性構築のために-
Project/Area Number |
09J07628
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
上嶋 菜摘 Nagoya University, 教育発達科学研究科, 特別研究員DC2
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Keywords | 主観性 / かかわり / 母子相互作用 / 心的状態の読み取り |
Research Abstract |
母親のかかわりに影響を及ぼす要因の検討を目的として、0歳時を持つ母親に対して母親が育てる子どもが3~4ヶ月、6ヶ月、9ヶ月、12ヶ月の時点で面接調査を行った。具体的には、調査時点で母親が育てていた子どもと同月齢の乳児の映像刺激を用いて、母親が乳児に対するかかわりと関係づけて捉えることができているものごとについて把握した。得られた面接所見の検討から、乳児の発達にともなって、母親が自身のかかわりと関係づけている内容が異なっていくことが示唆された。つまり、乳児の月齢が3・6ヶ月と低い場合には、乳児に対する期待や願望といった母親側の要因に多く言及されていたが、乳児の月齢が9・12か月と高くなるにつれて乳児の心的状態に働きかける意図に関する言及が回答の中で増加していった。また、乳児の心的状態については、乳児の月齢にかかわらず母親にとって意識されやすい要因であることが示された。 このように、母親自身に面接を行ったことによって、母親が、自身が感じ取った乳児の心的状態に応じるのみでなく、母親自身の主観性を関与させながら乳児にかかわっているという母子相互作用のダイナミクスが実証的に示された点で意義があるといえよう。さらに、母親の主観性の関与のあり方は、乳児の発達にともなって変化するものであることも示された。 従来は、母子相互作用や親子関係の領域において乳児の心的状態の読み取りが重要視されていたが、これに加えて母親の主観性に踏み込んだ検討をさらに行う必要があると考えられた。
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Research Products
(9 results)