2011 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 邦生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核輸送 / 細胞周期 / 分裂酵母 / 微小管 |
Research Abstract |
細胞周期に応じて細胞内のさまざまな構造はその形態を大きく変化させる。動物細胞の核膜は間期には核と細胞質を隔てているが、分裂期には崩壊する。これに対して、分裂酵母では核膜崩壊せずに、核と細胞質は分画されている。したがって、細胞周期に応じて細胞質と核のいずれかで機能を果たす微小管構造がどのようにその働く場所を制御されているのかは、興味深い問題である。微小管は間期では細胞質において形成されるが、分裂期に移行すると核内の紡錘体(スピンドル)構造へと姿を変える。スピンドルは染色体分配に関わり、スピンドル形成の異常は癌化または細胞死を引き起こすため、その制御は細胞にとって重要な課題である。本研究では、ランダムに変異を導入した変異体ライブラリーから、高温で生育できない温度感受性株を単離して、微小管および核膜に異常を示す変異体を探した。本年度、間期においても核内で微小管が形成される変異体を単離し、その原因遺伝子がalp14遺伝子と同定した。Alp14はAlp7と微小管結合タンパク質複合体を形成する。Alp7-Alp14複合体は間期から分裂期に移行する際に、細胞質から核内に局在が変化し、この局在変化が微小管の再編成に重要な役割を果たすことを当グループで明らかにしてきた。本研究ではAlp7が分裂期にスピンドルの重合中心となるSPBに局在するため、SPBタンパク質との結合を免疫沈降実験によって検討したところ、結合が確認された。驚くべきことに、Alp14とSPBタンパク質を融合し核内に蓄積させたところ、間期においても核内での微小管形成を誘導できることを見出した。SPBは分裂期に移行する際に、細胞質から核膜に埋め込まれる。このことは、Alp7-Alp14複合体が核内に輸送されて、SPBタンパク質と相互作用することが、分裂期に核内のスピンドルを形成するために必要かつ十分な条件であることを示唆する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
間期においても核内で微小管が形成される変異体の原因遺伝子がalp14遺伝子と同定した。Alp14は、Alp7と微小管結合タンパク質複合体を形成する。さらに本研究では、Alp7とSPBタンパク質との結合との結合を見出し、これらを融合させると微小管の形成を誘導できることを示した。これらのことより、Alp7-Alp14の局在制御が細胞周期に応じた微小管の再編成に特に重要であることを示唆することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
Alp7-Alp14複合体の局在が細胞周期に応じてどのように制御されるのかを検討する。Alp7と結合することが見出したSPBタンパク質は、分裂期に核内で働くと考えられている。まず、このSPBタンパク質の変異株においてAlp7のSPB局在を調べることにより、Alp7の分裂期におけるSPB局在のメカニズムを検討する。そしてAlp7-Alp14複合体は間期において細胞質の微小管形成にも重要な役割を果たすことから、Alp7と結合する細胞質で働くタンパク質が存在することが予想される。間期、分裂期でそれぞれ細胞質、核内のSPBへの局在に関わる因子を同定することにより、細胞周期に応じた微小管の再編成のメカニズムに迫ることを試みる。
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Research Products
(1 results)