2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07681
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 邦生 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 核輸送 / 細胞周期 / 分裂酵母 |
Research Abstract |
細胞内で核は核膜によって細胞質と隔てられており、核-細胞質間輸送(以下、核輸送)は遺伝子発現制御を含めさまざまな細胞生命現象と関わっている。私は、核分裂の際にも核膜が崩壊しない分裂酵母を用いて、核輸送制御と細胞周期進行の関連について解析を進めている。まず、2回の核分裂が連続して起こる減数分裂では、2回目の分裂が起きる際に核膜の透過性が高まり、核膜による隔離作用の喪失が起きることが分かった。この現象はなぜ起きるのかを解析し、以下の知見を得た。核膜は小胞体から作られる。減数分裂過程では小胞体の成分は小胞輸送によって胞子の前駆体へも移行する。突然変異により胞子形成、とくに小胞輸送を抑えると核膜の透過性の上昇が遅延した。小胞輸送を抑える薬剤によっても核膜の透過性の上昇が遅延することを確認した。以上、核膜が崩壊しなくとも核と細胞質の区分がなくなる現象が発見され、この現象が小胞輸送を介した胞子形成のため起こることが分かった。これらの結果は国際誌Current Biology誌に掲載された。また、細胞周期における微小管構造の変化に注目して研究を進めた。間期において細胞極性維持のため細胞質に広がった微小管は、分裂期では染色体分配のために核内にスピンドルを形成する。すなわち核輸送は、微小管構造の変化にも関わっている。分裂酵母の体細胞分裂における微小管の制御を調べるため、核膜と微小管の変異体取得を目的とした遺伝学的なスクリーニングを行った。核膜・微小管・そしてスピンドル形成の起点となるSPBを3色で可視化した親株にランダムに変異を導入した変異体ライブラリーを作製した。今年度、このライブラリーから、高温で生育できない温度感受性株を単離し、微小管および核膜に表現型を示す変異体を探した。これまでに、間期に微小管が核内に蓄積する変異体などが単離された。現在、それらの原因遺伝子を特定しようとしている。
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Research Products
(2 results)