2009 Fiscal Year Annual Research Report
複合フェルミ粒子の超流動に基づく有限密度QCDと冷却原始気体の統一的解明
Project/Area Number |
09J07683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 賢志 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 有限密度QCD / 冷却原子気体 / ボソン・フェルミオン混合系 / 誘起相互作用 / 複合フェルミオン / 超流動 / 対称性の自発的破れ |
Research Abstract |
有限密度QCDにおいては、高密度領域でカラー超伝導状態が実現し、低密度側では核子の形成が起こると考えられている。さらに、核子は高密度側の有効自由度であるダイクォークとクォークの束縛状態と見なすことが出来る。本年度は、ダイクォークをボソン、クォークをフェルミオン、核子を複合フェルミオンに抽象化したボソン・フェルミオン混合系の相構造の解析を行った。 相構造を決める制御パラメーターとして、温度とボソン・フェルミオン間の引力相互作用の強さを用い、冷却原子気体におけるハドロン物理の模擬実験を提唱した。有限密度QCDの実験が極めて困難である現状を鑑みると、このような原子核物理から物性物理への分野横断型の模擬実験を考案する意義は、極めて大きい。 また、冷却原子系を視野に入れて非相対論的なボソン・フェルミオン混合系の模型を構成し、フェッシュバッハ共鳴により制御可能な接触型相互作用を取り入れた。弱結合領域では同種粒子間に誘起される相互作用の量子補正を摂動論に基づいて計算し、ボソンの超流動相と不安定相が存在することを示した。一方、強結合領域では複合フェルミオンの自由度で記述された有効理論を導出し、それらの低エネルギー有効相互作用が引力であることを示した。これにより複合フェルミオンの超流動状態が実現しうることを明らかにした。相互作用が中間的な大きさの場合は解析計算が困難であるが、対称性の自発的破れの観点から定性的な考察をし、相図のトポロジカルな構造を決定した。
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Research Products
(6 results)