2010 Fiscal Year Annual Research Report
複合フェルミ粒子の超流動に基づく有限密度QCDと冷却原子気体の統一的解明
Project/Area Number |
09J07683
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
前田 賢志 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | ボソン・フェルミオン混合系 / ラージN模型 / 非相対論的場の量子論 / 複合フェルミオン / 超流動 / 中間子凝縮 / 磁気双極子相互作用 / 二成分フェルミ原子気体 |
Research Abstract |
強結合ボソン・フェルミオン混合系をラージN模型に拡張し、複合フェルミオン間の有効相互作用を系統的に評価する手法を単著論文で発表した。この論文において、二成分フェルミ原子気体を含むより広いモデルのラージN自由度への拡張法を提供し、非相対論的場の理論と1/N展開によるダイアグラム計算法を詳細に解析した。1/N展開の最低次では、混合系の低エネルギー有効理論は複合フェルミオンの自由フェルミ気体で記述され、その次の次数まで考慮すると、複合フェルミオン間に弱い引力が働くことを示した。これにより、極低温では複合フェルミオンの超流動状態が実現するという前年度の解析を1/N展開によって基礎づけることに成功した。 核子有限密度系においては、核子と中間子との間の非等方的相互作用の結果、空間的に非一様な中間子凝縮が起こると考えられている。核子を二成分フェルミ原子、ベクトル型中間子をフォトン(電磁場)に読み替え、磁気双極子型相互作用をするフェルミ原子気体のモデルを構成した。さらに、一次元方向に局在化した変分状態を用いて多体系の変分エネルギー関数を導出し、ある密度領域では非一様なベクトルボソンの凝縮が存在する方が自由フェルミ気体よりもエネルギーが低くなることを明らかにした。また、実際の冷却原子実験における粒子数密度や原子(例えばDy)の磁気モーメントの値が、このような非一様凝縮を実現する領域にあることを示した。以上を踏まえ、核子有限密度系における中性ロー中間子の非一様凝縮現象がフェルミ原子気体において模擬実験可能であるといら結論を得た。これらの研究成果に関する論文二編を現在、作成中である。
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Research Products
(5 results)