2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07712
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 和也 東京大学, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 素粒子論 / 超対称性 |
Research Abstract |
超対称性理論は素粒子の標準模型を超えた物理を記述する最有力候補と目されています。私はこの超対称性理論に基づいて、現実世界を記述しうる模型の構築に取り組みました。超対称性が現実の世界を記述するためには、この対称性は自発的に破れてなければなりません。私は昨年度に発見した超対称性の破れの機構を用いて、超対称性の破れを超対称性標準模型に伝えるゲージ伝達機構の具体的な模型の構築を行いました。標準模型を超対称標準模型に拡張する動機の1つに、いわゆるニュートラリーノによる暗黒物質の説明があります。しかしながら、従来のゲージ伝達機構の模型においては、このニュートラリーノの暗黒物質が存在しないという問題がありました。今年度の研究のひとつでは、私が構築した模型には、ニュートラリーノに代わる暗黒物質が、超対称性を破るセクターに自然に存在することを示しました。これにより、この模型が現象論的に非常に満足いくものであることがわかりました。 今年度に行った別の研究として、超対称性理論における場の理論の基礎的な研究もあります。超対称性理論では、アノマリー問題と呼ばれる問題がおよそ30年も前から知られていました。これは、2つの方程式(R対称性のカレントのアノマリー方程式とエネルギー運動量テンソルのトレースのアノマリー方程式)が超対称性と矛盾するというものです。私は、この問題に対する解決を提唱しました。私の研究の以前にもこの問題に対する解決を議論したものは数多くありましたが、どれも込み入ったもので、問題が本当に解決しているのかわからない状況でした。今回の研究の議論は非常にシンプルなもので、かつ今まで超対称性理論で知られていた事実とも完全に整合性しており、この問題に対する理解が今までに比べ遥かにクリアになったということができます。
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Research Products
(5 results)