2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07712
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
米倉 和也 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | 素粒子論 / 超対称性 |
Research Abstract |
超対称性理論は素粒子の標準模型を超えた物理を記述する最有力候補と目されています。私はこの超対称性理論に基づいて、現実世界を記述しうる模型の構築に取り組みました。まず、超対称性理論が現実世界を記述するためには、超対称性は自発的に破れなければなりません。超対称性の自発的破れの機構は今までいくつか知られてはいましたが、その数は多くはありませんでした。私は、新しい超対称性の破れの機構が存在することを示しました。それは、共形場理論という、素粒子の現象論では今まで多くは応用されてこなかったものを用いたもので、模型構築の新たな可能性を与えました。この発見に基づいて、具体的な模型の構築を行いました。従来の模型の多くでは、超対称性理論に必ず存在するグラビティーノという粒子が現象論的に問題を引き起こすことが知られていましたが、構築した模型ではその問題がないことが期待されており、さらには他の点でも現象論的に満足いくものであると期待されています。以上の研究と平行して、従来の模型を詳しく調べる研究も行いました。その結果、ある種のクラスの模型では、上記のグラビティーノが引き起こす問題と現在の実験の制限を組み合わせることで、それらの模型が極めて強く制限されることを発見しました。この研究によって、上で述べた、私が提唱した模型の必要性が示唆されます。さらには、これらの模型は近い将来においてLHC実験においてテストすることが可能であると期待されており、理論的研究と実験が結びついていると言えます。
|
Research Products
(6 results)