2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07716
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小栗 秀悟 The University of Tokyo, 大学院・理学系研究科, 特別研究員(DC1)
|
Keywords | ニュートラリーノ / 暗黒物質 / シンチレータ / 波形識別 / フッ化カルシウム |
Research Abstract |
1.CaF2(Eu)による探索実験 申請者の所属する蓑輪研究室では、2005年にCaF2(Eu)の結晶シンチレータを用いたニュートラリーノ探索実験が行われた。この探索実験ではγ線バックグラウンドが優位であり、暗黒物質発見には至らなかった。申請者は、さらに高感度の探索実験を行うために、γ線イベントを粒子識別によって除去する方法を模索した。 ニュートラリーノ探索実験では、ニュートラリーノがフッ素原子核に衝突し、反跳したフッ素原子核がシンチレータ内の電子をはじき飛ばすことでシンチレータが発光する。一方でγ線が入射した場合も、γ線がシンチレータ内の電子と衝突し、同様の発光が起こる。このイベントは遮蔽によって完全に除去することは難しく、フッ素原子核反跳と電子反跳を直接識別することが必要である。 申請者はシンチレータの発光の仕方に注目した。シンチレータの発光を時間方向に分解すると、発光の最初が最も光量が多く、とある時定数で指数関数的に減少する。この時定数はシンチレータごとに固有の値であり、原子核反跳イベントと電子反跳イベントでも異なる場合がある。 CaF2(Eu)では、原子核反跳イベントと電子反跳イベントで時定数がほとんど変わらない、という測定結果が過去に出ていたが、申請者はさらに詳細に時定数を測定した。その結果、この二つの時定数の差を観測することに成功した。 2.液体シンチレータによる探索実験 結晶シンチレータによる探索実験と並行して、液体シンチレータによる方法も模索している。液体シンチレータは測定中に不純物除去が可能で、大型化も容易なことから、ニュートラリーノ探索ではメリットが多い。ニュートラリーノに衝突させるターゲットとしては、スピンに依存した相互作用で散乱断面積の多いと考えられているフッ素原子核を用いる予定である。現在、フッ素を含む発光量の多いシンチレータを開発中である。
|
Research Products
(4 results)