2010 Fiscal Year Annual Research Report
潜在制止効果と隠蔽効果の相互作用の生起メカニズムに関する実験心理学的研究
Project/Area Number |
09J07723
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
永石 高敏 関西学院大学, 文学部, 特別研究員(PD)
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Keywords | 連合学習 / 潜在制止 / 隠蔽 |
Research Abstract |
研究代表者の永石高敏は、連合学習における潜在制止と隠蔽の相互作用の生起条件(加算か相殺)を明らかにするために研究を行っている。2010年度の研究成果は、以下の通りである。 まず、動物(ラット)を対象にした研究では、2009年度において条件性マガジンアプローチ事態において潜在制止と隠蔽の相互作用を検討するために必要な適切なパラメータを見出した。2010年度は、そのパラメータを用いて、2つの効果(潜在制止および隠蔽)の相互作用を検討した。その結果、先行研究(e.g.,Nakajima&Nagaishi,2006)であるラットを用いた味覚嫌悪条件づけ事態と同様に、加算現象を確認した。それにより、動物を対象とした研究では、潜在制止と隠蔽は加算されることが妥当であることが示された。 次に、ヒトを対象とした研究では、特に研究代表者が独自に考案したテレビゲーム用のロールプレイングゲーム(RPG)を用いた随伴性判断課題を作成して、2つの効果の相互作用を検討した。その結果、動物を対象とした研究(e.g.,Nagaishi&Nakajima,2008)と一致する結果(加算現象)を得た。これにより、動物およびヒトを対象とした一連の研究において、潜在制止と隠蔽の相互作用として、2つの効果は足し合わされるという加算現象が妥当であることが示された。この研究成果は、単に2つの現象の相互作用の生起メカニズムの解明につながることだけではなく、学習心理学分野(特に連合学習)における理論的発展の一助になることが期待されるものである。
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Research Products
(1 results)