2010 Fiscal Year Annual Research Report
有機分子内包ガラスを利用した持続的水質浄化プロセスの開発
Project/Area Number |
09J07752
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
上村 佳大 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(PD)
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Keywords | 廃水処理 / シリカ材料 / 多孔質材料 |
Research Abstract |
ゼオライトは結晶性多孔質アルミノシリケートであり、その高い安定性、吸着特性、細孔容積から、有価物回収や汚染物質除去プロセスに応用できると考え、今回は主にゼオライトの合成及び物性評価、そして低コスト・低環境負荷でのゼオライト合成プロセスの確立を対象としたものを報告する。ゼオライトはシリカ源、アルミ源、アルカリ源、水及び有機構造規定剤(organic structure-directing agent;OSDA)を混合して反応混合物を調製し、これをオートクレーブ内で高温・高圧下で水熱反応させて合成される。この時、OSDAの種類、反応混合物組成、反応条件及び反応操作を変化させることにより生成結晶相が制御され、これまでにbeta、ZSM-11、ZSM-12をはじめとする工業的価値の高いゼオライトが合成されてきた。これらのゼオライトを合成するためにはOSDAが必須であり、同時に新しいOSDAを用いた新規構造ゼオライト合成の試みも継続的に行われている。しかしながら、現状ではOSDAの構造はより複雑化し高価なものへと変化しているばかりでなく、OSDAを用いる従来方法は有機物含有廃液の処理や焼成時の排ガス処理などが不可避であるという欠点があり、ゼオライトの大量生産においてプロセスの煩雑化と高い環境負荷の主要因となっている。このような背景から、本研究では種結晶添加法によってOSDAを用いずに種々のゼオライトを合成することを試みた。種結晶添加法はFig.1に示すようにOSDAを含まない反応混合物に予めOSDAを用いて合成したゼオライト種結晶(焼成品)を少量添加して水熱合成を行い、種結晶と同一構造を有するゼオライトをOSDA-freeで合成する新しいアプローチである。種結晶添加法によってこれまでにbeta、ZSM-11、ZSM-12ゼオライトの合成を行い、さらにこれらの生成物をそれぞれ種結晶として利用し、反応混合物に再度添加することで、種結晶と同一構造を有したゼオライト(グリーンゼオライト)を結晶化させることに初めて成功した。
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