2010 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07758
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高村 峰生 東京大学, 大学院・人文社会系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | モダニズム / イギリス:アメリカ:フランス / 写真 / 接触 / 表象 / D.H.ロレンス / アルフレッド・スティーグリッツ |
Research Abstract |
Merleau-Pontyにおける接触の問題についての論文を、二次文献などを吟味しつつ、じっくりと改稿することができた。8月からはD.H.Lawrenceのテキストを集中的に読み、後期のテキスト、とりわけ彼の美術論に議論を集中することに決定して、9月から二ヶ月ほどの間で集中して、ロレンスにおける接触の問題について論じることができた。この部分では、ロレンスのエトルリア文明についての著述を、彼のセザンヌについての美術論と結び付けて論じ、彼の後期著作について新たな視座を形成することができた。 その後は、Alfred Stieglitzとその周囲にいた詩人や芸術家の接触についての集合的な言説を考察の対象とした。11月から12月を調査に当て、執筆はおおむね12月から2月にかけてなされた。ここでは、Stieglitzという写真家が、自分の作品を通じて触覚的な身体感覚を喚起するようなイメージをつくり出そうとしていたいことを中心に論じ、彼と関係の深かった画家のMax Weber、批評家のWaldo FrankやPaul Rosenfeld、詩人のWilliam Carlos Williamsなども、同じように接触を機械文明に抗する芸術家の生の表現として捉えていたことを示した。この部分の調査では、滞在先のイリノイ大学の美学科に所属する専門図書館を大いに利用した。特にそこに所蔵されていた、Stieglitzの監修した重要なモダニズムのジャーナルであるCamera Workをじっくりと検討することができたのも大きな収穫である。 この一年の間に、ドン・デリーロの『ボディ・アーティスト』という作品についての批評を投稿し、修正を経て受理された。また、アメリカ内での学会に二度参加し、発表を行うことができた。
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Research Products
(4 results)