2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07762
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
藤山 将士 Osaka City University, 大学院・理学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 量子乱流 / 超流動 / 量子渦 / コルモゴロフ則 / 自己相似性 / 渦糸長密度 |
Research Abstract |
量子乱流は超流動中で生じる乱流である。通常の流体(古典流体)は粘性を持ち、その渦は任意の大きさを持つ。一方超流動中では粘性が消失し、渦が量子化されている。このように通常の流体で生じる乱流(古典乱流)と量子乱流の性質は大きく異なるが、両者で共通した性質を示すことが知られている。コルモゴロフ則は古典乱流中で発見された渦の統計則であり、渦の作る構造がフラクタルである事を意味する法則である。近年この法則が量子乱流でも成立することが確認された。この発見は乱流に普遍的な法則が存在するという驚くべきものである。 更にランカスター大学の実験グループは量子乱流中の渦密度の時間的な揺らぎを測定し、そのスペクトルが冪則に従うことを発見した。彼らの発見は、渦が作るフラクタル構造が渦の揺らぎに反映されていると思わせる結果であり、乱流の普遍的性質を研究する上で重要な手がかりになると我々は考えた。 そこで我々は実験状況をモデル化し、渦の運動を数値計算した。その結果、ランカスター大学で得られた量子乱流と同様の性質を示す量子乱流を実現した。計算で得られた量子乱流中の渦密度揺らぎのスペクトルが冪則に従うことを発見した.この冪則は渦が作る構造を反映していると考え、渦のサイズに関する統計則を導出し、渦のサイズ分布もまた冪則に従うこと(フラクタル構造を持つ)を示した。導出したサイズ分布は、数値計算で得られた量子乱流から実際に確認でき、我々の理論の正しさを証明することが出来た。
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Research Products
(10 results)