2010 Fiscal Year Annual Research Report
マントル流動・化学進化素過程を知るための転位構造・化学・拡散システマティクス
Project/Area Number |
09J07786
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
田阪 美樹 東京大学, 地震研究所, 特別研究員(DC1)
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Keywords | マントル / フォルステライト / エンスタタイト / ゼナー則 / 変形 / 粒径依存クリープ |
Research Abstract |
背景と研究目的:天然の岩石は一般的に複数の鉱物の集合体であるため、一相目の鉱物のみならず二相目の鉱物が加わった多相系における岩石の振る舞いを調べることが重要となる。二相目の粒子の量比により変化することが期待されるパラメーターは粒径、粘性、変形機構などが挙げられる。特に、粒径は粒径依存型の変形において重要な役割を果たし、粘性や変形機構を直接的に変化させる重要なパラメーターである。本研究は、二相系における粒径・粘性および変形機構と二相目粒子の割合の関係調べ、天然の岩石に応用することを目的とする。 結果、および、考察:圧縮変形実験では均一な変形に成功し、精度の良い応力・歪速度曲線が得られた。微細構造観察においては、TEM及びFE-SEMを用い、実験前の試料を前後の試料の組織解析を行い第一相と第二相の粒径および粒径分布を解析した。その解析から変形中の粒成長則・粒成長指数を求めた。粒成長の速度を示す粒成長は、dn-dOn=Kt(式1)と表わされ、dは成長後の粒径、dOは成長前の粒径、Kは粒成長係数、nは粒成長指数である。実験から二相目粒子の割合が大きい程Kは小さいことが分かった。つまり二相目粒子が多いほど粒成長は遅いことになる。この二相目粒子の割合と粒径変化は、粒成長係数Kのモデルに基づき、第一相と第二相の粒径比により説明可能であることが分かった。またEnの体積分率に応じて粘性が下がることが分かった。これは、Enの体積分率に応じた粒径変化が原因であると考えられる。さらに歪とともに粘性が上がることが分かり、これは変形中の粒径変化が原因と考えられる。
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Research Products
(7 results)