2010 Fiscal Year Annual Research Report
液体中微小ギャップにおけるマイクロ放電とその応用に関する研究
Project/Area Number |
09J07799
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
金丸 誠 東京工業大学, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 大気圧マイクロ放電 / 水中微小ギャップ放電 / 気泡 / ラジカル / ダブルパルス放電 / 微細液体流 |
Research Abstract |
大気圧マイクロ放電における界面現象すなわち、「液体-プラズマ界面」について諸特性を明らかにするとともに、これらを利用した応用に向けた検討を目的とする。微小なプラズマにおいて、その体積に対する表面積の割合である比表面積が大きくなるため、これまでに無い新しい物理現象とその応用技術が期待できる。まず、水中の微小ギャップにおいて高電圧パルスを印加し、放電進展過程、気泡の生成、ラジカルの発生を評価・検討した。気泡運動モデルと気泡内ガス温度分布モデルを構築し、電子・ラジカル・イオン数密度の半径方向分布を求めた結果、電子およびイオンと水素・酸素ラジカルはアーク柱近傍で発生し、OHラジカルはアーク柱と気泡界面の間付近で最も多く生成されることがわかった。次に、ダブルパルス放電により気泡内をプラズマリアクタとする新しい概念を提案した。気泡は圧力により膨張収縮する空間である。また、気泡は常に液体で覆われているため、気泡の収縮により急速な冷却が容易であることと、気泡は放電で安定に生成できることから、気泡を放電容器と考え、その内部で放電を生成すると水処理や材料創製等の新しいプラズマプロセスを実現できるリアクタとしての可能性がある。電極表面の反応に着目すると、気泡内放電では放電痕が形成されず、変色が起こったことから表面処理への応用が期待できる。さらに、プラズマと液体との界面の面積を格段に増加させる方法として、微細な液体流の周囲にプラズマを生成する新しい方式を提案した。直流放電の場合、液体流は液滴となり放電が形成された。液体流に沿ってヘリウムガス流を同軸状に供給した高周波放電では、液体流の周囲に一様に放電が形成できた。このとき、電子衝突によりヘリウムが励起されて生じた準安定準位の励起種が、液体流に作用して水の解離反応が進むことを明らかにした。
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Research Products
(7 results)