2009 Fiscal Year Annual Research Report
犯罪被害からの「回復」に向かう要因の分析-多様で総合的な被害者施策構築に向けて-
Project/Area Number |
09J07820
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
滝口 涼子 Sophia University, 大学院・総合人間科学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 犯罪により家族を喪った被害当事者 / 犯罪被害者運動 / 犯罪被害者支援 / 被害者参加制度 / エンパワメント / ソーシャルサポートネットワーク / ナラティブ分析 / 事例研究 |
Research Abstract |
これまでほとんど研究されてこなかった殺人や傷害致死事件による犯罪被害者の遺族の体験、特に被害者運動への関わりを取り上げ、被害当事者団体における被害者遺族へのインタビュー調査をもとに、遺族が被害者運動に参加する過程について、エンパワメントの視点から、遺族のナラティブを質的に分析した。この調査結果について、日本社会福祉学会の学会誌『社会福祉学』50(4)に論文が掲載された。これとともに、このインタビュー調査のデータをもとに、日米の被害者運動における遺族の運動参加過程を比較し、世界被害者学会第13回国際被害者学シンポジウムで成果を発表した。また、2008年より開始された刑事裁判での被害者参加制度において、裁判への参加を希望する被害者・遺族への支援方法について、外国での調査研究に関する文献調査を行い、日本社会福祉学会第57回全国大会にて口頭発表を行った。さらに、犯罪により家族を喪った被害当事者を対象とした日本と北米・英国における調査研究を、ソーシャルサポートネットワークの視点からレビューした。この成果をもとに、地域で犯罪被害当事者が自らのソーシャルサポートネットワークを、支援者とともに形成し、それを基にソーシャルアクションを実践する過程を分析するため、先駆的な取り組みを行っている被害者支援団体の事例研究を開始した。今後は、この事例研究と、上記の被害当事者団体での被害者運動への参加過程についての研究の結果をあわせて、ソーシャルサポートネットワークの役割に注目して、犯罪被害当事者のソーシャルアクションの過程に関する研究を進める。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article]2009
Author(s)
滝口涼子
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Journal Title
「犯罪被害と子どものケア」『非行臨床の現場からとらえた子どもの成長と自律』(藤川洋子編著)(明治図書出版)
Pages: 107-122
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