2011 Fiscal Year Annual Research Report
半導体における核スピンコヒーレンスの制御に関する研究
Project/Area Number |
09J07823
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 真証 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体スピントロニクス / 核磁気共鳴 / スピンコヒーレンス / GaAs量子井戸 / 超微細相互作用 / 四重極相互作用 |
Research Abstract |
本研究では、極微細半導体量子ナノ構造において、光、電子スピン、核スピン間の相互作用の最適化と制御を、光検出を組み合わせた高感度・高空間分解能を有する核磁気共鳴(NMR)により行い、固体量子情報デバイス応用への可能性を探索することを目的としている。本年度は、n型(110)GaAs/AIGaAs単一量子井戸構造を用い、電界による核スピン操作に関する実験を行った。<1.エネルギー準位の制御>核スピンに働く相互作用の中で、四重極相互作用は電界によって制御可能である。ここでは電界による四重極相互作用の制御手法の確立を目的として、四重極分裂幅の電界依存性を調査した。試料は(110)基板上に成長したGaAs/AIGaAs単一量子井戸であり、試料表面に半透明ショットキーゲートを形成した。核スピンの検出には時間分解力一回転測定法を用い、電界を変化させながらNMRスペクトルを測定した。本実験では、静電界によってNMRスペクトルの共鳴周波数を共鳴線幅(~20kHz)以上変化させられることを確認した。電気的に核スピンのエネルギー準位を制御できるため、静磁場や歪とは異なりアクティブな制御を行うことができる。これを利用することで、核磁気共鳴の共鳴状態と非共鳴状態とのダイナミックな切り替えが期待できる。<2.核スピンのコヒーレント操作>ここでは核スピンのコヒーレント操作を電気的手法により実現することを目標に実験を行った。本実験では、パルス的に高周波電界を印加することで、核スピンのコヒーレントな振動(ラビ振動)が観測された。更に、位相を制御した連続したパルス列を印加することによって、任意方向への核スピン操作も実証した。核スピン操作は元来磁気的に行われており、電界による核スピンのコヒーレント操作実証は大変意味のある結果である。
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Research Products
(4 results)