2010 Fiscal Year Annual Research Report
半導体における核スピンコヒーレンスの制御に関する研究
Project/Area Number |
09J07823
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
小野 真証 東北大学, 大学院・工学研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 半導体スピントロニクス / 核磁気共鳴 / スピンコヒーレンス / GaAs量子井戸 / 超微細相互作用 / 四重極相互作用 |
Research Abstract |
本研究では,極微細半導体量子ナノ構造において,光,電子スピン,核スピン間の相互作用の最適化と制御を,光検出を組み合わせた高感度・高空間分解能を有する核磁気共鳴(NMR)により行い,固体量子情報デバイス応用への可能性を探索することを目的としている。本年度は四重極相互作用に注目し,n型(110)GaAs/AlGaAs単一量子井戸を対象として核スピンコヒーレンス制御に関する研究を行った。<1.四重極相互作用の電界制御>四重極相互作用は核周りの電荷分布非対称により発生し,歪(昨年度報告)や電界によって制御できることが知られている。ここでは位相情報保持時間の延長を見据え,電界による四重極相互作用の制御手法の確立を目的として,四重極分裂幅の電界依存性を調査した。まず試料表面に半透明ショットキーゲートを形成し,電界の印加を可能にした。核スピンの検出にはNMRを組み合わせた時間分解力-回転測定を用い,電界を変化させながらNMRスペクトルを測定した。本実験では,四重極相互作用に起因する四重極分裂幅が最大10kHz変調可能であるという結果が得られた。<2.四重極相互作用の静磁場による制御>四重極相互作用は歪や電界により制御可能である一方で,静磁場の大きさにも大きく依存する。ここでは,四重極相互作用の核スピンコヒーレンスへの影響を調べることを目的に,NMRスペクトル,コヒーレンス時間の静磁場強度依存性を調査した。一般的に四重極相互作用は,静磁場によって誘起されるゼーマン分裂に対して小さく,摂動として扱われる。しかし,静磁場の強度を抑え,相対的に四重極相互作用の寄与を増大させることで,NMRスペクトルが非対称になり,これがコヒーレンス時間に影響することが明らかになった。上述のように本年度の研究では,四重極相互作用に関して核スピンコヒーレンス制御の観点から多くの知見が得られた。
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Research Products
(10 results)