2010 Fiscal Year Annual Research Report
高性能3次元リアクションホイールの開発と実験的検証
Project/Area Number |
09J07839
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
白澤 洋次 東京大学, 大学院・工学系研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | リアクションホイール / 姿勢制御 / 気体軸受 / 球面モータ |
Research Abstract |
まず,球状ロータの回転制御部における回転速度に対する消費電力の低減を試みた.従来の渦電流式に対し,同期モータ方式として,磁化させたロータと,ステータ側の電磁石により形成する回転磁場との間の磁力を直接利用してロータの回転を制御する方法を採用することで,ロータに強力な磁性を持たせることによって弱い回転磁場でも大きな回転トルクを発生できると考え,この機能を検証するための実験装置を新たに構築した.ネオジム磁石を埋め込んだ軸受用鋼球をロータに用い,また,発生する磁力を効率的に利用できるようリング状に配置した小型のコイルによる微弱な回転磁場によって高回転トルクでロータを回転させることに成功した.ロータの回転速度は,磁場の回転速度によって制御することができ,100Hz以上での回転にも成功した.この装置を用いて実験を行った結果,従来の渦電流方式の回転装置に比して,定常回転時に必要な電力は約17%,回転加速時に必要な電力は約50%となる結果が得られた.この結果より,球状ロータを金属の軸受で隔離しても十分な回転力を得られることを実証した. 以上のように回転制御機能の高効率化を実現した上で,位置制御機能と組み合わせてモジュール化を行った.ロータの位置制御方法としては,気体軸受を2基対向させた実験装置を構築し,球状ロータを初期平衡位置に復元させる剛性を持たせる受動的な制御法を採用した.さらに,位置計測,回転計測機能も同時に組み込むため,軸受自体にも加工を施し,回転計測用のセンサを3軸方向に配置した. これらの工夫により,3軸回転計測・制御および3軸位置制御の機能を一体化しモジュール化することに成功した.この装置は,実機搭載モデルにおいては,さらに重力に抗する位置制御力が軽減できるため,さらにコンパクト化が可能であることも期待でき,3次元リアクションホイールの実用化に向けて非常に大きな成果が得られたといえる.
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