Research Abstract |
本年度は実機モデルへの搭載を見込んだ球状ロータの位置制御方法の検討を進めた.これまでの地上実験において非接触回転を検証する際は,重力の影響をキャンセルするために制御力の比較的大きい磁気浮上装置や空気浮上装置を用いて位置制御を行ってきたが,実際の宇宙における微小重力環境では,制御力の比較的小さい静電浮上式が有効であると考え,この浮上方法の妥当性について検証を進めた.まず,現実的に出力可能な静電気力と実際の宇宙環境で発生する外乱加速度の関係を調査し,制御可能となる球状ロータの形状,材質と駆動側の構成について検討を行った.これを基に数値解析を行った結果,約1.5kVの電圧を2kHz以上の速度で制御できれば球状ロータの位置は充分制御可能であるとの結論を得た.この結果に対して実験による検証を行うため,地上実験へのスケーリングを行い,この結果に基づいて,地上試験装置を開発した.まず,1G重力下で,無重力状態での負荷と同レベルの球体浮上を実現するために,軽量で表面導電性のある高精度球体(Φ40mm,3g)の試作を行った.さらに,上記球体を用いた浮上試験を実施するため,浮上試験用筺体(1軸制御用)の設計,製作を実施した.また,静電浮上のために必要となる高電圧交流制御回路を実現するために,高周波高圧増幅器の選定評価と,制御回路試作,ソフトウェア開発(FPGA)を実施した.さらに高速位置フィードバック制御を行うための位置センサの選定評価を行い,計測回路の試作を行った.以上のように浮上ロータ,電圧制御部,計測部を各個に開発し,これらを統合した地上での静電浮上実験を行う環境を整えた.
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