2010 Fiscal Year Annual Research Report
化学修飾による可視光で異性化するアゾベンゼンの開発及びその応用
Project/Area Number |
09J07883
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
西岡 英則 名古屋大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | DNA / アゾベンゼン / 光制御 / ハイブリダイゼーション / 可視光 |
Research Abstract |
昨年度までの研究により、アゾベンゼン誘導体を用いる事で可視光のみでDNAハイブリダイゼーションの光制御を行う事に成功しているが、1)光制御能力が十分に高くない、さらに2)cis-体の熱安定性が低い等の問題がみられた。本年度は以上の2点の問題を克服した優れた機能性アゾベンゼンとしてパラ位にメチルチオ基を、オルト位にはメチル基を導入した誘導体を合成した。DNAに導入した状態で吸収スペクトルを測定したところ、新規アゾベンゼンは可視領域の400nmの光でcis-体に、同じく可視領域の450nmの光でtrans-体に異性化し、可視光のみで構造を可逆的に制御できた。さらに、アゾベンゼンがtrans-体、cis-体を取るときのDNA二重鎖の安定性の差ΔT_mは従来の無置換アゾベンゼンの3倍程度となり、光制御能が大きく向上した。またパラ位に電子供与性置換基を導入したにも関わらずcis-体が優れた熱安定性を示し、その半減期は60℃で6.4時間となり、化学修飾を行っていないアゾベンゼン(半減期:3.3時間)をも凌駕する値となった。光制御能の向上及びcis-体熱安定性の向上はこれまでの研究結果からオルト位に導入したメチル基の効果によると考えられる。 本研究で開発したアゾベンゼンは可視光領域のみでなく、紫外領域の光でも波長を選択する事でtrans-cis異性化を行うことが可能である。そこで、従来からのアゾベンゼンと組み合わせ、照射波長を選択することで任意にDNAハイブリダイゼーションを光制御し、複雑な駆動が可能である分子マシンを構築した。新規アゾベンゼンを含む部位と従来のアゾベンゼンを含む部位の二重鎖の形成と解離を蛍光色素を利用し観測したところ、期待通りの複雑な駆動を観察する事ができた。
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Research Products
(4 results)