2009 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
09J07902
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Research Fellow |
藤原 正規 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 特別研究員(DC2)
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Keywords | 単一分子分光 / 低温 / タンパク質 / 可視・紫外分光 / 対物レンズ |
Research Abstract |
タンパク質は熱運動により多数の準安定構造間を自発的に行き来しながら生体内で機能を発現している。タンパク質を急冷して自発的な構造変化を抑制し、個々のタンパク質の発光を検出することでタンパク質の構造情報を引き出すことができれば、集団平均と熱運動によって解明できなった準安定構造の分布がわかり、タンパク質の立体構造と機能発現の関係を理解する上で重要な知見が得られる。このような低温での単一タンパク質分光は1990年代後半に近赤外領域で初めて実現された。しかし、これ以降約10年間、技術的問題から測定波長域が拡大できず、可視~紫外域で単一のタンパク質からの発光検出が不可能であった。そこで我々は技術的問題を解決するための核となる対物レンズの開発を独自に行った。これにより低温・可視域で単一タンパク質からの蛍光スペクトル測定に成功した。私はこの対物レンズの設計及び性能評価を4年間行ってきた。本研究期間では、これまでの研究成果をまとめ、第一著者として論文を執筆、発表した。次に、タンパク質中の単一アミノ酸分光に先立ち、これまで実現されていなかった低温・可視域における単一タンパク質の発光励起スペクトル(吸収スペクトルに相当)の測定に着手した。可視域で吸収を持つタンパク質のうち測定の候補として考えている光活性化アデニル酸シクラーゼ(PAC)や緑色蛍光タンパク質(GFP)は波長400~500nmに吸収帯を持つため、この領域を高速で波長掃引できる光源が必要となる。そこで、私はスーパーコンティニューム光を利用した可視波長可変光源を自作し、この光源を用いることで温度1.5Kで単一GFPの発光励起スペクトルの測定に成功した。今後はこの技術を応用することで、単一アミノ酸からの発光検出を目指したいと考えている。
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Research Products
(2 results)