2010 Fiscal Year Annual Research Report
モンゴル語のモダリティについて-コーパスに基づく記述的研究-
Project/Area Number |
09J07919
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
ジンガン 東京外国語大学, 大学院・総合国際学研究院, 特別研究員(PD)
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Keywords | モンゴル語 / モダリティ / コーパス |
Research Abstract |
本研究の目的は、モンゴル語のモダリティの全体像を記述し、その体系を明らかにすることである。従来の研究では、モンゴル語のモダリティを単に分類することにとどまっており、各カテゴリー、各形式の間の相関関係を明らかにしていなかった。分類の基準なども客観的に行われてこなかった。本研究では、コーパス言語学の方法を用い、さらに現地調査も行うことで、より客観性の高い結果を得ることを目指した。 本研究の前半期では、ムード、モーダルな接辞、モダリティ、終助詞といった四つのカテゴリーを記述することによって、モンゴル語のモダリティの共時的体系を明らかにするようにアプローチした。分析の過程から、モンゴル語のモダリティ形式の多くが多義的であり、同じ形式が異なる意味カテゴリーに分化することが明らかとなった。従来の研究は、「意味優先型」の研究であるため、このような多義的な形式に関しては、単に異なるカテゴリーに分類することにのみ留まっていた。本研究では、電子コーパスから収集した大量の実例を分析し、各モダリティ形式の多義性を形式・構造と意味との相互関係の中で考察し、各形式の間の相関関係を明らかにした。 本研究の後半期は、モンゴル語のモダリティの通時的記述のため、13-14世紀のモンゴル語文献コーパスを作成する作業を中心に行った。この通時的コーパスには、主に13-14世紀に建てられた、あるいは書かれたと考えられる碑文、手紙(公文書)、および、印鑑に彫られた文書、木版刷文献などが収集された。コーパスの全体構造は基本的にTEI(The Text Encoding Initiative)の基準に従い、元の文献に参照できるように各単語の位置情報や形態論情報を付与する作業を行い、モダリティ形式の歴史的変化を考察した。
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