2010 Fiscal Year Annual Research Report
DNA脱メチル化による始原生殖細胞分化運命決定のエピジェネティックな制御
Project/Area Number |
09J07923
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
望月 研太郎 東北大学, 大学院・医学系研究科, 特別研究員(DC1)
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Keywords | 始原生殖細胞 / 分化運命決定 / DNA脱メチル化 / 始原生殖細胞特異的遺伝子群 / エピジェネティクス / 発現制御 |
Research Abstract |
1.分化運命決定期において、始原生殖細胞特異的遺伝子群はDNA脱メチル化を受ける。 分化運命決定前の未分化細胞および分化運命決定後の始原生殖細胞において、分化運命決定期に発現を開始する始原生殖細胞特異的遺伝子群mil-1,Blimp1,Prdm14およびStellaの保存配列ICE近傍領域のDNAメチル化状態を解析し、両者を比較した。その結果、各始原生殖細胞特異的遺伝子の保存配列ICE近傍領域は、発現開始前の未分化細胞に比べて、発現開始後の始原生殖細胞においてDNA脱メチル化状態にあった。 2.分化運命決定期におけるDNA脱メチル化は始原生殖細胞特異的遺伝子群の発現を制御する。 まず、遺伝子発現プロファイルが未分化細胞と始原生殖細胞の中間的性質を示す胚性幹(ES)細胞において、CpG配列にDNAメチル化を付与するDNAメチル基転移酵素群であるDnmt1,Dnmt3aおよびDnmt3bに対するRNAiによるノックダウンを行った。その結果、各始原生殖細胞特異的遺伝子の発現上昇ならびに保存配列ICE近傍領域でのDNA脱メチル化が認められた。続いて、早期のDNA脱メチル化が起こることが予想される、維持型DNAメチル基転移酵素Dnmt1を欠損したマウス胚を解析した。その結果、各始原生殖細胞特異的遺伝子は、通常は発現開始前である未分化細胞において早熟に発現しており、また、それらの保存配列ICE近傍領域でのDNA脱メチル化が認められた。 以上により、始原生殖細胞の分化運命決定の際、保存配列ICE近傍領域におけるDNA脱メチル化は始原生殖細胞特異的遺伝子群の発現を共通して制御することが明らかとなった。 現在、DNA脱メチル化が始原生殖細胞の分化運命決定そのものを制御する可能性を検証すべく、Dnmt1欠損マウス胚における始原生殖細胞の形成状態について、詳細な解析を行っている。
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Research Products
(4 results)